こんな悩みにお答えします。
メンタル不調はセンシティブで、当事者は冷静に判断できないのが実情です。
違和感がある、しんどい、つらい、必死に会社に行っている方は早めに心療内科へ連絡しましょう。
この記事では、早めに病院へ行った方がいい具体的な理由と、利用できる制度の手続き方法、現職への休職(退職)の申し出の方法を紹介しています。
・心身の危険サインを無視していませんか?
・まず病院へ:精神科・心療内科
・会社員が"うつ病"と診断されたらまずやること
・まとめとおさらい
私は、人事職から転職し、現在は大手人材会社で年間400人以上のエンジニア支援をしているキャリアアドバイザーです。
メンタル不調をきっかけに、転職の相談にくるエンジニアが月に1-2人はいます。
まず転職をするのは順序が違うので、この記事を書くことに決めました。
「メンタルになってしまったらおしまいだ」、「隠さなきゃ」という焦りや不安がある方へ、うつ病や適応障害が落ち着いてから、ゆっくりしっかり探せば復職は十分可能です。
うつ病は、早期発見と適切な治療で完治できる可能性が高まります。
手遅れにならないうちに、まずあなたがやるべきは身の安全の確保です。
今、あなたは抑うつ状態かもしれない
抑うつ状態とうつ病の違いは?
憂うつ、好きなこともやりたくない、夜眠れない、という状態を「抑うつ状態」と呼び、その状態が重症化すると「うつ病」と呼ばれます。
"うつ"には外因性、内因性、心因性のものがあり、厚労省によれば一般的なうつ病は内因性によるものを指します。
内因性うつ病というのは典型的なうつ病であり、普通は抗うつ薬がよく効きますし、治療しなく ても一定期間内によくなるといわれます。躁状態がある場合は、双極性障害と呼びます。セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっていると推測されています。
厚生労働省
外因性 脳や体の病気や薬の副作用でおきるもの
内因性 体質や遺伝的な原因でおきるもの
心因性 性格や環境・ストレスが強く関係しているもの
抑うつ状態を確認しよう
該当する項目が多く、2週間以上続いていたらうつ病の可能性もあります。
1) 自分で感じる症状
厚生労働省
憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である、
イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、
細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責める、
物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れない
2) 周囲から見てわかる症状
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増える
3) 体に出る症状
食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり、
動悸、胃の不快感、便秘がち、めまい、口が渇く
まだ我慢できる、という場合こそ、病院の受診をしましょう。
「まだ我慢しんどさ」は「しんどいけど我慢できる」状態なだけで、とっくに限界が来ています。
産業医の診断を受けるか、心療内科・精神科を予約
厚労省のチェック項目に複数該当した場合は、早めに専門家の診断を受けることが重要です。
会社が契約している産業医との面談依頼をするのが一番早いので、人事連絡をして面談を希望しましょう。
会社にばれたくないと抵抗がある人は、自分で心療内科や精神科を予約します。
早めに病院に行くことをオススメする理由は2つあります。
まず心療内科や精神科は予約が取りづらいためです。
初診の受付に数ヶ月かかることもあり、特に最近はコロナの影響もあって診察数を減らしている病院もあります。
次に、もしうつ状態からうつ病へ進行すると、電話をする気力も残っていない可能性があるからです。
会社を休めないから…という人ほど、無理にでも休んで病院へ行くことを強く勧めます。
会社はあなたの人生を守ってくれません。
病状が深刻になってからではなく、「病気じゃなかった」という太鼓判をもらいに病院へ行ってもいいのです。
現在地を適切に把握することが、あなたの心身の安全を守ることにつながります。
もし何らか病名が診断されたら、診断書をもらっておきましょう。休職の際に企業に提出が必要なことがおおいためです、およそ5000円で発行されます。
会社員がうつ病だと診断されたら、傷病手当申請書!
休職中でも傷病手当金でが収入が得られます。
step
1健康保険協会に連絡
step
2傷病手当申請書(請求書)を作成
step
3傷病手当金を受け取る
会社員でうつ病と診断されたら、加入している健康保険協会に連絡して「傷病手当申請書」をもらう手続きをはじめます。
なぜこの申請書が必要かというと、傷病手当金を受け取るためです。
休職したら給与がもらえないから休めない、と思いつめている人は安心してくださいね。
傷病手当申請書の書き方
傷病手当申請書はあなた、職場、医師の記入欄があります。
どの順番でもいいですが、あなた→医師→職場の順がスムーズに行くことが多いです。
勤め先が作成してくれない場合は、社会保険労務士へ申請の代行を依頼しましょう。
本来であれば、会社には傷病手当申請書を作成する義務がありますが、守らない会社があることも想定して、社会保険労務士は法律で傷病手当金の申請代行を行うことが認められています。
故意に対応をしない場合は、社員を大切にしていない会社かもしれません。
傷病手当申請書の手続きができて、気持ちも落ち着いたら退職も検討していきましょう。
休職や退職の手続き
傷病手当申請書の作成と並行して、休職や退職手続きも進めていきましょう。
休職か退職か
個人的な意見としては、制度として利用できるなら休職をまず検討することがオススメです。
退職すると、離職期間があくことや雇用がないことへプレッシャーを感じて、心身が休まらない人もいるからです。
病院で受け取った診断書を会社へ提出して手続きが進みますが、企業によりその後の手続きは異なります。
逆に退職した方がいい人は、現職と連絡を続けるのが心理的に負担な場合です。
休職中も雇用関係は発生しているので、定期的に状況報告や面談の必要があり得ます。
産業医経由にすることもできますが、会社との接点そのものが苦痛の場合は、退職を検討しましょう。
まとめ まず病院へ
うつかどうか気になる、もしそうだったら嫌だから認めたくない…という場合でも、まずは病院へ行きましょう。
自分の今の息苦しさが、あなたのせいではなくて脳の機能障害(うつ)だとわかれば、対策が打てて気持ちも楽になります。
まず専門家の診断を受け、休職の制度を利用(現職と関わるのがしんどい場合は退職)します。
休職期間が空けるタイミングで、復職が難しければ退職や転職を検討します。
今でこそ、Web上の検索エンジンも無責任な記事を上位に表示させることは少なくなりました。
困って苦しんでたどり着いたWebサイトで、「今すぐ転職しましょう」と転職サービスを進める記事は注意してくださいね。
現役のキャリアアドバイザーからすると、あなたに必要なのは転職ではなく診察と現状把握です。